
冬はハトやスズメとりに懸命になった。
山に詳しい大人や先輩たちに教わって、モチの木の皮をはぎ、擦り潰して作ったトリモチを鳥の止まりそうなあちこちの木の枝に張りつけて、時々見にいったが、いっこうに収穫はなかった。
大人に教わって山に入り、黒豆のような野ウサギの糞を探し当て、彼らの通り道にも罠をかけたが、これも収穫はなかった。そうそう子どもの罠にかかってくれるようなウサギはいなかった。
うまく行ったのはスズメとりと山鳩釣りだった。
スズメはいくらでもいるから、麦粒をまいた土の上に籠を仕掛け、つっかい棒に糸を繋いで、物陰からスズメの動きをうかがう。うまくスズメが籠の下に入ったところで、一気に糸を引いて籠を落とせば簡単にとれた。しかし、一羽のスズメからとれる肉はわずかなもので、とても蛋白源確保というわけにはいかない。
鳩釣りは少々残酷な遊びだったが、面白かった。鳩を例の鰻釣りの要領で釣るのである。何日も雪が降り続くと、山鳩は餌を求めて里に姿に降りてくる。こんもりと雪の積もったお茶の木の根元にわずかに土が黒々と見える。お茶の木にテグスを結び付けて釣り針の先に大豆を突き刺して土の上にさりげなく置いておくと、腹を空かせたあわて者の鳩がこれを呑み込んでしまう。
暴れまわる鳩を取り押さえるのは子どもでもできる。鳩に豆鉄砲ならぬ、鳩の豆釣りである。